ホールガーメント編機からニットが出てくる様子
【梶原】
BLUEKNIT storeの特徴は、循環するシステムが構築されていることです。服を廃棄しないでリサイクルする概念を重視しています。焼却による環境負荷について知識を持っていたとしても、行動を起こすことは難しいものです。使わなくなった服を捨てずに再利用していく意識が高まるような活動を広げていきたいです。
【島社長】
そうですね。日本はタンスものが一杯だと思います。BLUEKNITで販売した商品の全品を弊社がお客様からの使用後に買い戻します。店舗に回収箱を置いている店舗は増えていますが、BLUEKNITでは購入後に経過期間による買取率を設定します。次回にご購入する際にご利用いただけるポイントをお渡ししていく予定です。
また、買取後に状態を専門のスタッフがチェックし、再販売可能な商品は必要な補修作業をして、またBLUEKNIT store上で販売することも考えています。もしくは糸や素材、混率をみて反毛などの最適なリサイクル方法で再利用することを考えています。
【梶原】
製品回収という循環システムだけではなく、BLUEKNITはニット工場の未来づくりに向けて地域活性化における社会、人々の循環も意識していければと思います。
【島社長】
そうですね。例えば、梶原さんの出身地である北海道でも食材からサステナブルなものづくりに繋がることが出来るのではないでしょうか?トウモロコシの農業廃棄物となるひげや芯の部分を生かして糸にできないかな(笑)少し突飛な話になるかもしれませんが、将来的には繊維と食の文化が連動することもやっていきたいと考えています。ファッションとアグリカルチャー(農業)は親和性が高い領域だと思います。最近はバナナで作った糸でできた洋服もありますね。体のことを考えると、食べること、着ることの全てがつながっているように感じます。
右側:島三博社長、左側:梶原加奈子
神前駅の周辺の田園風景
【島社長】
食と着るものはまだ分断されている気もしますが、将来にはつながることを考えています。単発的な話ではなく、連動を考えて消費者に提案していくことも重要だと思います。
イタリアは特に村を大事にする感覚があります。村でブドウを作ってワインを作り、パスタも作り、その暮らしのスタイルが生まれる。食と衣服がつながっていることが想像できます。地域それぞれの特徴があるものが作られていくと素敵な世の中になると思います。
将来的には食の世界とBLUEKNITで発信するニットが繋がっていくことも楽しみです。デジタル発信していくことに共感が集まりツーリズムが発生し、ニット工場さんの地域に人が集まるきっかけになれば素敵だなと思います。
【梶原】
人々の意識が「もの」から「こと」に向かっているいま、島社長は地方に足を向け、自然や生活を体験するアグリツーリズムの考え方に興味を持っていますね。
【島社長】
そうですね。本当にそう思います。
ものを作っている環境を活かし観光にもつなげるようなイメージを持っています。
【梶原】
サステナブルな暮らしと地方の活性化を結びつけて、これからの循環方法に興味がある人たちが集まるきっかけをBLUEKNITでも提案していきたいと思います。
【島社長】
アグリツーリズムとものづくり、つまりファッションは繋がるべきだと思います。他にも弊社で応援する形でスタートした新事業として、古紙の糸を活かした糸や製品の販売、地域の原産野菜の販売、学童保育があります。この3つの異分野が融合し、新しい価値観を生み出していける可能性があると思います。BLUEKNITのプラットフォームもニット工場の地域の特性を活かしながら柔軟にお客様と交流が広がっていければと思います。
本社の地域の街並み 地域の活性化を大切に考えている想いが印象的でした
本社のキッズ商品サンプル ホールガーメントの編地にプリントもできます
BLUEKNITプロジェクトの意義 地方で仲間を増やし、ニット産業の活性化にもつながる
【梶原】
参加する工場の皆さんは島社長がお話ししたように地域の活性化に向けて関心を持っています。日本は今後の少子高齢化の問題があり、地方に根付いている産業の継続は意識をしていかないと働き手が減っていきます。人がいないとものづくりも続けていけません。各地方の仲間を増やしていく必要があります。BLUEKNITに参加している工場の経営者皆さまが、D2Cに挑戦することでニット産業やその地域にも関心を持つ人たちを増やしていきたいと話されていたことが印象的でした。
BLUEKNITは販売することだけではなく、皆さんの想いに共感する仲間を増やし、地方活性化にも貢献していける取り組みに成長できればと思います。
株式会社島精機製作所本社 ニットサンプル企画部門
BLUEKNIT storeクリエイティブディレクター
梶原 加奈子
北海道札幌市生まれ。多摩美術大学デザイン学部染織科卒業。
(株)イッセイミヤケテキスタイル企画を経て渡英。英国王立芸術大学院(RCA)ファッション&テキスタイルデザイン修士課程修了。2008年KAJIHARA DESIGN STUDIO INC.を設立。
日本産地の素材を集結させたテキスタイルブランドKANA COLLECTIONを立ち上げ、海外のハイメゾン向けに素材を提案。クリエイティブディレクターとしてもブランディングや地域活性化と連携。札幌の森にショップ、ダイニング、ゲストハウスの複合施設「COQ」を立ち上げ、自然と共に過ごすサーキュラーライフバランスを発信している。
2022年より(株)島精機製作所が立ち上げたサステナブルECモール「BLUEKNIT store」のクリエイティブディレクターを務めている。
北海道札幌市生まれ。多摩美術大学デザイン学部染織科卒業。
(株)イッセイミヤケテキスタイル企画を経て渡英。英国王立芸術大学院(RCA)ファッション&テキスタイルデザイン修士課程修了。2008年KAJIHARA DESIGN STUDIO INC.を設立。
日本産地の素材を集結させたテキスタイルブランド KANA COLLECTION を立ち上げ、海外の廃メゾン向けに素材を提案。クリエイティブディレクターとしてもブランディングや地域活性化と連携。札幌の森にショップ、ダイニング、ゲストハウスの複合施設「COQ」を立ち上げ、自然と共に過ごすサーキュラーライフバランスを発信している。
2022年より(株)島精機製作所が立ち上げたサステナブルECモール「BLUEKNIT store」のクリエイティブディレクターを務めている。