西日本の繊維産業の町、泉大津市。ここから国内外へ、ユニークさと使いやすさを備えたニット原糸をお届けしている澤田株式会社。糸だけでなく、自社ブランドでの製品づくりまでトータルで手がける澤田株式会社の設立から、ものづくりにかける想いなど、澤田隆生会長、澤田誠社長とBLUEKNIT storeのクリエイティブディレクターを務める梶原加奈子さんとの対談の模様をお届けします。
分野を超えた製品開発、人と人との繋がりを大切にする強い想い。新しいことに挑戦する原動力とは何か。前編、中編、後編の3部に分けてお届けします。 中編の今回は、工場が発信していく苦悩や、新しい挑戦を続けるものづくりの姿勢、サステナビリティについてお話を伺っていきます。
左:BLUEKNIT store クリエイティブディレクター 梶原加奈子
右:澤田株式会社 澤田誠社長
「始めることをやめない」
【梶原】
自社ブランドを立ち上げた際のエピソードを教えてください。
【澤田社長】
ADAWASが1番初めのブランドなんですけど、もう14年目に入りました。海外から発信して日本に販売した方がイメージ的に良いと思い海外の展示会から始めました。 ファクトリーブランドとなると自力で発信していかなければならないですが、当時は発信できる能力がなかったので、自分達で海外の展示会に出展していました。最初は的外れなこともありましたが、日本のショールームにPRして頂いたり、お客様からピックアップして頂き、日本に卸ができるようになっていき、海外からの発注なども増えて少しずつブランド立ち上げるノウハウが社内にできてきました。
海外展示会(当時)で使用していた製品タグ
澤田株式会社の試作編み地ハンガー
【梶原】
澤田さんは自社ECサイト「澤田マルシェ」をお持ちですが、どのように立ち上げたんですか?
【澤田社長】
澤田マルシェは立ち上げてまだ2年です。コロナ禍で社内の仕事量も収入も激減してしまって、初めは3割くらいダウンしました。これだけ仕事がなくなると作り手の手が空くじゃないですか。なので、新しいことをやろうと。それで自社のサイトをみんなで作って、慣れないSNSも勉強して発信していったり、もちろんアドバイザーもつけながらですが、やるべきことは自分達でね。大切じゃないですか。
取材対応してくださった澤田誠社長
【梶原】
やろうと思ったことが確実に形になっていてすごいですね。
【澤田社長】
自分達でできることは自分達でやろうと。会長の口癖は「始めることをやめない」。普段の業務と並行して商品開発、サイトの運営をするのは大変ですが、何か新しいことを始めることをやめてしまったら、会社は衰退して行ってしまう。小さなことでもいいから、止めない。始めていかないと継続できないですからね。
左:澤田株式会社 澤田誠社長
右:澤田株式会社 澤田隆生会長
【梶原】
やりたいなと思ったことは、社員さんに聞いてみたりするんですか?
【澤田社長】
まずはヒアリングします。こんなことやりたいんだけど、やってみる?って。ちゃんと言わされている感が無いようにもちろん僕からの提案もありますが、社員からの提案もあります。こういう商品を作りたいとなったら、じゃあこのブランドでやってみようとか。そういった事例もあります。
自分達で動いて売ることで、ファンがいることを体感できました。自分達の糸が直接消費者に繋がるので、サステナブルにも繋がると思います。
大阪・泉大津の自社工場 特化した編み地をデザインしている
大阪の自社工場
2030年には全てをサステナブルに
【梶原】
サステナビリティについて、行っていることはありますか?
【澤田社長】
うちのブランドの中でも、勿体無い糸はあるんです。製品を作った余りの糸とか、少しずつ溜まっていき最後は捨ててしまうんです。それを「もったいない糸」というブランドを作ってサイトに載せたら、想像以上に購入していただけました。
普段の業務をしながら、写真を撮ったりサイトに載せたりと大変ですが、捨ててしまう糸がワークショップに使用する会社や直接お客様に購入していただけることで、自分達のファンがいることを体感できたのは嬉しかったですね。
もったいない糸
大阪ショールームに飾られている糸
【梶原】
売り方としてもサステナビリティを積極的に取り入れていますね。
【澤田社長】
そうですね。反応が悪かったものは小分けにして価格を落としたりなど、工夫もしています。2030年以内に全てをサステナブルにしたいという目標はあるんですけど、そう簡単にはいきません。やっぱり撚糸するとナイロンやポリエステルも入ってしまうので、素材としてのサステナブルは今後も課題がたくさんあります。
大阪・泉大津の自社工場
【梶原】
複合糸の合繊部分もサステナブルを視野に入れた原料になることは非常に重要ですよね。リサイクル糸を使ってもらえると助かります。
BLUEKNIT store クリエイティブディレクター 梶原加奈子
中編は以上となります。後編では、会社を長く続けるための秘訣や、日本のものづくりが抱える問題、BLUEKNITに期待していることについてお話を伺っていきます。
BLUEKNIT storeクリエイティブディレクター
梶原 加奈子
北海道札幌市生まれ。多摩美術大学デザイン学部染織科卒業。
(株)イッセイミヤケテキスタイル企画を経て渡英。英国王立芸術大学院(RCA)ファッション&テキスタイルデザイン修士課程修了。2008年KAJIHARA DESIGN STUDIO INC.を設立。
日本産地の素材を集結させたテキスタイルブランドKANA COLLECTIONを立ち上げ、海外のハイメゾン向けに素材を提案。クリエイティブディレクターとしてもブランディングや地域活性化と連携。札幌の森にショップ、ダイニング、ゲストハウスの複合施設「COQ」を立ち上げ、自然と共に過ごすサーキュラーライフバランスを発信している。
2022年より(株)島精機製作所が立ち上げたサステナブルECモール「BLUEKNIT store」のクリエイティブディレクターを務めている。
北海道札幌市生まれ。多摩美術大学デザイン学部染織科卒業。
(株)イッセイミヤケテキスタイル企画を経て渡英。英国王立芸術大学院(RCA)ファッション&テキスタイルデザイン修士課程修了。2008年KAJIHARA DESIGN STUDIO INC.を設立。
日本産地の素材を集結させたテキスタイルブランド KANA COLLECTION を立ち上げ、海外の廃メゾン向けに素材を提案。クリエイティブディレクターとしてもブランディングや地域活性化と連携。札幌の森にショップ、ダイニング、ゲストハウスの複合施設「COQ」を立ち上げ、自然と共に過ごすサーキュラーライフバランスを発信している。
2022年より(株)島精機製作所が立ち上げたサステナブルECモール「BLUEKNIT store」のクリエイティブディレクターを務めている。