和紙糸との出会い
JR両国駅から両国国技館を過ぎて歩くこと約15分、3~5階建てのビルが立ち並ぶ墨田区にある有限会社フルカワ。時代によって変化する市場を、持ち前の発想力と行動力で柔軟に乗り越えてきました。今回は代表取締役社長の古川昌宏さんと奥様の古川美希さんにBLUEKNIT storeを運営する島精機製作所メンバー(以下、島精機)がインタビューさせていただきました。
中編では和紙糸との出会いから同社の経営的な強みに迫っていきます。
和紙を使用しプリントを施したブランド「wasi x wasi」
左:古川昌宏社長、右:古川美希さん
【古川社長】
和紙糸にもプリントができるので、和紙糸を使った製品にプリントするという独自性の高い取組みをスタートさせました。
和紙素材を使っているという事で、ブランド名を”wasi x wasi”と決め、ウェブサイトでの紹介や、オンライン販売などにもチャレンジしています。これからプロモーションを強化しようとしていたタイミングでBLUEKNIT storeの話を耳にしたので、今回参加させてもらうことになったということです。
元々サステナブルな取組みにも興味はあったので、環境負荷が小さく、生分解性の和紙糸を使った商品を知ってもらうために、今年4月に開催されたサステナブルファッションEXPOに出展することを決めました。10月のウェルネス展にも出展する予定で、既にブース申込を完了しています。島精機さんの新規プロジェクトであるリサイクル紙糸”REPAC”を使った商品展開も検討したいと思っています。
【島精機】
ありがとうございます。”REPAC”は牛乳パックからリサイクルされた繊維を成長の早いマニラ麻の繊維と混ぜる事で強度を持たせ、さまざまな繊維製品として使用できるサステナブルなリサイクル和紙糸として注目を浴びています。フルカワさんのプリント加工を施す事で、さらに面白い製品になることを期待しています。
株式会社島精機製作所が提供するサステナブル素材ブランド”ReMateri”
”REPAC”は”ReMateri”の素材第一弾の牛乳パックからうまれた糸素材です。
【島精機】
フルカワさんの強みは何かお聞きしたいのですが、これまでのお話を聞かせてもらって感じたのは、やはり新しい技術や取組みに躊躇なくチャレンジし、それを体得してきたところにあるような気がしました。
【古川社長】
そうですね、常に他社が真似できないものに取り組むために新しい技術や市場にチャレンジしていた結果が、プリントとニットという独自技術に行きついた感じです。
【美希さん】
糸を購入している以外の工程は100%内製化できているのも強みかもしれません。
【古川社長】
場所が東京にあるというところも、最先端の流行を身近に感じられるところやコミュニケーションの取りやすさで有利に働いたように思います。
左:古川昌宏社長、右:古川美希さん
さまざまな機種で幅広い製品や付属品に対応
【美希さん】
私はニット工場の方を担当しているのですが、新しい技術を学ぶことは好きで、自分でもものづくりにこだわりを持った職人気質的なところを持っていると思っています。これまでも非常に多くの「面倒くさい」ことをやってきた感はありますが、「難しい」や「面倒くさい」ことの先に満足できる製品が出来た時の満足感のためにやっている様なものです。
【島精機】
その大変さや難しさの上につくられた製品のバックグラウンドを是非商品を購入される方にも知っていただきたいですね。
和紙の吸水性と5本指ソックスの快適性を両立
中編では和紙を中心にした独自のものづくりや、東京都内という地の利を活かしたユニークな経営方法についてお話をお聞きしました。次回後編では、同社のサステナビリティへの取り組みについてお聞きしたいと思います。