リサイクル情報を学ぶ

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リサイクル情報を学ぶ

繊維製品のリサイクルを推進するためには、回収システムやプログラムも大切ですが、リサイクルを容易にするために、製品のデザインや素材選択に配慮すること、原料の供給チェーンの透明性、原料のリサイクル可能性も重要となってきます。

近年、持続可能な開発目標(SDGs)やエシカルな商品への社会的関心が高まっていることから、リサイクルに関する認証制度が注目されています。

この記事では、Textile Exchangeの認証制度とリサイクル原料事情についてご紹介します。

Textile Exchangeとは

Textile Exchange(テキスタイルエクスチェンジ)とは、アメリカ・テキサス州に本部を置く、持続可能な繊維素材の普及を推進する国際的な非営利団体です。土壌の健康、水、生物多様性、人や地球環境への影響を最小限に抑え、豊かなグローバル繊維産業の構築支援活動や情報提供などを行っており、繊維および原材料生産に伴う温室効果ガス(GHG)の排出量を2030年までに45%削減することを目標としています。メンバーには、世界中の800以上のブランドやメーカーが含まれており、繊維業界における持続可能性に関する8つの認証制度を定めています。

8つの認証制度を知る

8つの認証とは、繊維業界が原材料から最終製品に至るまで、製品やサービスの品質、安全性、環境への影響、社会的責任などを評価するための基準や規則のことです。Textile Exchangeが定めるこれらの基準や規則は、企業や組織が持続可能性や品質管理などに取り組む際に参考にすることができ、監査と認証は専門的な第三者機関に委ねられています。

企業やブランドがこれらに準拠し認証を取得することで、消費者に対して信頼性や持続可能性への取り組みを示すことができます。

Textile Exchange 8つの認証

OCS

Organic Content Standard

有機原料を含む製品の認証基準であり、製品内のオーガニック栽培された繊維の割合を供給チェーンから最終製品まで追跡し、混合率を確認することで、消費者に対して有機素材の使用を保証します。

RCS

Recycled Claim Standard

リサイクルされた材料を含む製品に対する認証基準であり、リサイクル材料の割合や供給チェーンの透明性を評価し、消費者に対してリサイクル素材の使用を保証します。

GRS

Global Recycled Standard

製品におけるリサイクル素材の使用とその供給チェーンの透明性を評価する国際的な認証基準であり、リサイクルされた繊維原料の割合や原料の追跡、化学物質の制限、社会的・環境的責任などが規定されています。

RWS

Responsible Wool Standard

羊毛産業における持続可能性を向上させるための基準であり、ウールの動物福祉や土地管理の要件を検証し、その供給チェーンから最終製品までを追跡する規定です。

RMS

Responsible Mohair Standard

羊毛産業における持続可能性を向上させるための基準であり、モヘアの動物福祉や土地管理の要件を検証し、その供給チェーンから最終製品までを追跡する規定です。

RAS

Responsible Alpaca Standard

羊毛産業における持続可能性を向上させるための基準であり、アルパカの動物福祉や土地管理の要件を検証し、その供給チェーンから最終製品までを追跡する規定です。

RDS

Responsible Down Standard

ダウン製品における動物福祉と持続可能性を評価する国際的な認証基準です。ダウンの産地から製品までの供給チェーンにおいて動物福祉が尊重されていることを確認します。

CCS

Cotton Made In Africa Control Union Certification

アフリカで生産されたコットンに関する持続可能性基準を評価する認証プログラムです。農薬や水の使用量削減、労働条件改善などが含まれています。

リサイクル原料事情について

Textile Exchangeは、持続可能な繊維産業を推進するために、リサイクルに関する最新の情報や取り組みを提供しています。毎年リリースされるレポートから繊維のリサイクル原料事情についてのデータを見てみましょう。

2022年の世界の繊維生産量

Textile Exchange Material Market Reportより抜粋

2022年の世界の繊維生産量の内訳です。実績として、約116,000万トンの繊維が世界で生産されました。この内、コットンが22%、ウールが1%。最も生産量の多いポリエステルが54%程度となっています。

世界の繊維生産量(100万トン単位)とリサイクル率

Textile Exchange Material Market Reportより抜粋

生産量に対するリサイクル原料の使用率です。年間の総生産量の増加に対しリサイクル原料使用率も増加してきましたが、2022年は初めて前年を下回りました。

2021年の再生繊維の種類別市場シェア

2022年の再生繊維の種類別市場シェア

Textile Exchange Material Market Reportより抜粋

2021年と2022年の素材毎のリサイクル原料利用率の比較を見てみましょう。最も生産規模の大きいポリエステルのリサイクル原料利用率が1%下がり、逆にウールは1%改善しています。

進むリサイクル素材の需要と認証制度の普及

消費者の意識が高まり、企業やブランドが持続可能性への取り組みを強化していることから、リサイクル素材への需要が増加しており、特にプラスチック廃棄物やポリエステル製品のリサイクルが注目されています。

ラスチック廃棄物やポリエステル製品のリサイクルが注目されています。

繊維の中で最も生産量が多いポリエステル繊維の内、86%が化石燃料(主に石炭、石油、天然ガスなど)由来のもの(バージンポリエステル)となっており、リサイクルポリエステルが占める割合はわずか14%。そのうちの99%のリサイクル原料がペットボトル由来のものです。私たちの使用しているポリエステル繊維は再生不可能な化石燃料由来のものに大きく依存しているのが現状です。

リサイクルポリエステルはバージンポリエステルと比較して、CO2の排出量が最大30%削減できるとも言われており、Textile Exchangeは、2030年までにポリエステルの90%をリサイクル繊維に置き換えるという意欲的な目標を掲げています。

また、2番目に生産量が多いコットンについても、Textile Exchange2025年には50%をサステナブルなコットンに置き換えることを目指すという「2025サステナブルコットンチャレンジ」を発足しています。サステナブルなコットンとは、オーガニックコットンやフェアトレードコットン、リサイクルコットンなどを指しています。繊維業界は、この割合を約3%2012年)から27%2022年)まで高めるのに10年を要しており、わずかあと2年で目標値まで高めるためには、大幅に取り組みを加速する必要があるとされています。

地球環境や動物福祉へ配慮した製品づくりが推進されることで、新たなリサイクル技術やプロセスが開発されており、より効率的かつ持続可能な方法で繊維製品を再利用することが可能になってきています。

私たちBLUEKNITは、土に還る天然繊維やリサイクル糸を主に活用し、人と地球環境の未来に配慮したモノづくりを支えていきます。